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第7話

「話はついたみたいね、それではよろしく頼むわ」
イザベラさんからクエストを受けた俺達は
「さて、色々準備とかあるでしょうし、準備ができ次第、鉱山区側の南グスタベルグ入口の門に集合と
しましょうか。往復で一日はかかる距離はあるので、それなりの準備はお願いします」

というルース君の一言で別行動中なのである。現在俺は一人
ジャンのやつはなにか取りに行くものがあるといって俺のレンタルハウスへ装備やその他もろもろ
をとりに一緒に戻ったあと、別行動をしている。

俺の準備といってもあまり大した事はない。普段使い用のブロンズナイフ、ナイフだと戦闘中相手に近づくのが
ちょっと怖いので適当に合成したブロンズソード、防具としては防具屋に安く売っていたレザーアーマー一式
それと吟遊詩人に必須の楽器、フルートにメープルハープである。それにアイアンパンに干し肉、ポポトイモ
等の食料に水ををコウモリのねぐらで買ってさらに毛布や雨具等を持ち準備完了というわけである。

 まあこのように準備も少なく(日本のようにサイフひとつで出かけられることを考えると多すぎるくらいだけ
ど)自分のレンタルハウスから近いところにある集合場所ということで
俺は一番乗りというわけ。

ここ南門は一歩出ると南グスタベルグに通じている。まさに街と荒野との境目である。石造りの街の風景が
その一歩を踏み出すと岩と砂の光景になるというのだから。
しばらくぼーっと立ちながら時間を潰していると、どうやら2人目が来たご様子。

彼女は魔法使いが着るようなローブを着て、頭には髪飾り、そして腰にはなんか叩かれたらやばそうなハンマー
をぶら下げている。
「おー、ルティちゃんが2番か」
「る、ルティちゃん……え、えーと、ちゃんはやめてもらってもいいかな……なんかムズムズする」
ちゃん付けはまずかったかしら。
「そ、そう?じゃあなんて呼べばいいかな」
「普通に呼び捨てでいいかと」
うーむ、女性経験の無さがここに現れるわけか、自分で言ってて悲しい。
「じゃあ、ルティ……でいいかな」
「はい!」

「誰かもういるとは思わなかった。あたし結構早く来たのに」
ルティちゃんは少し不満気に言う。
「まあレンタルハウスここから近いからな、それに準備する店も近いし……ところでそのハンマーは?」
ジモッティの利というわけであるな。

だけどそのことよりも今はそのごついハンマーが気になっている。
「これのこと?これはバストゥークの10人隊長の武器として正式採用されてるハンマーなんだ、だから
いい品だと思うよ」
「た、たしかにすごそうだな」

うーん俺は、白魔道士というのはパーティーの回復や治療のエキスパートで
俺は誠に勝手ながら白衣の天使的なのを想像していた。よって現実との剥離に悩んでいると
「む、もしかしてそんなの扱えるのかと思ってる?わたしはどっちかというと魔法よりこっちのほうが
向いてるくらいだし、こう見えても得意なんだよ」

そっちではないんだけど……いや、特に疑ってはいない。この世界の人は体が小さくても力あったりするしね。
ただ脳内のイメージとの相違について悩んでいただけなんだ。とはいえないので
「いや、特に疑ってはないよ、頼りにしてる」
という無難な返し方しか出来ないのであった。

俺が思うに、この世界で暮らしている人は、俺より若くてもすごくしっかりしてると思う。モンスターが
その辺を闊歩して、国から一歩出れば安全は保証されない。その上敵対している獣人もいる。
今は小康状態らしいけどね。だから日本でのほほん学生やってた俺にとっちゃ会う人会う人若いのに
すごいなあとか思うよホント(俺も十分若いというのにね)
だから年上面出来ない、できにくい!

何でこんなことを考えているのかというと
「そういえば年上に見えるけど、ショウさんっていくつなの?」
「えーと、今は20、いや21歳になったところかな、ジャンも同じ位って聞いた」
と年齢の話題になったからである。

「へえ、私たちより結構上なんだね」
「そうなのか?」
「うん、私が15で兄さんは17だし、ラピピ姉さんも兄さんと同じだよ」
「へえ、結構俺より下なのね……いやあ若いのにしっかりしてるな」
「ショウさんも十分若いじゃない……」

てかまあガルカという俺より2倍は長く生きる種族が存在するという時点で年齢なんか飾りなのかもなとも思う。
おやっさんはいくつなんだろなぁ。

「そういえば普通に酒場に居たような気がするけど、何歳からとか無いの?」
「え?どういうこと」
「いやあ、普通お酒って何歳以上は飲んじゃダメとか無いのか?」

「えー、それは聞いたことないな。ショウさんの故郷だと決まってるの?」
「まあな、俺の故郷では20歳になってからって決まってたよ。守ってない奴も居たけどね」
「へぇーそうなんだ、変わった決まりだね」

いや、俺にとっては決まってないほうが違和感あるんだが、殆どの国で決まってたと思うけどなぁ。
まあこの世界の常識とは違うのは当たり前か。

「まあそれはおいといて、ラピピ姉さんって言ったけど何でまた姉さんなんだ?実の姉妹というわけでは
無さそうだし……」
「うーん、詳しく話すと長くなるけど、あたしと兄さんは小さい頃両親の都合でウィンダスに行ってたんだ」
ウィンダスというのは、正確にはウィンダス連邦という。
それなりに遠いらしいので俺はまだ行ったことはない。

「へぇ~、ウィンダスかまだ行ったことないなぁ、タルタルとミスラがたくさんいる国だっけ?」
「うん、そうだね、ほとんど、いや全くといっていいほどいなかったかなー。だから最初は友達とかも全然
できなくてね」
「へえ」

俺がこの世界にきて学んだことを頭から引っ張りだす。
この世界には種族というか、人間でいう人種の違い(まあかなり違うけど)があって

まずは俺みたいな日本人ってか地球人っぽい見た目ののヒューム。
でおやっさんみたいな、でかい、ごついプラス尻尾のガルカ。
そしてジャンみたいな、ヒュームに似てるが、比較的背が大きく、尖った耳をしているエルヴァーン
まあ物語で言うエルフみたいな感じ。
次にラピピさんみたいな、背は子ども程度で丸っこいはなに尖った耳のタルタル。
で、最後にミスラ、知り合いにはいないけど見たことはある。えーと獣のような耳と鼻に尻尾
なんというかネコのような印象を受けた覚えがある。
そういえばガルカは男性しか見たことないな。

「それで色々あって、あっちで最初に仲良くなって一緒にいるようになって、それから姉さんと
呼ぶことになったんだ」
「そうなんだ、長い付き合いなんだな」
「うん、冒険者になったら一緒に仕事しようねってその時3人で決めて、それで3人でやってるんだ。
あ、兄さんとラピピ姉さんが来たみたいだよ」

見ると遠くからルース君とラピピさんがこちらに向かって手を振りながら歩いてきている。
「……あとここだけの話だけど、兄さんとラピピ姉さんはちょっと怪しいと思ってるんだよね」
まだこちらに到達しないという距離で、ルティは俺にニヤリと笑って小声で言う。
怪しいってのは……ああ、そういうことか。異種族恋愛ってのもありなのかねー。
この世界にきて半年の俺はそのことが含む意味については分からない。だけど笑って教えてくれること
なら別にタブーというわけではないんだろうな。

「おまたせしました。ああ、ルティ早めに来てたんだね」
「ショウさんも来てるとなるとあとはジャンさんだけみたいですね」
とりあえずこれで4人揃って残るはジャンだけ。

「うっジャンのやつが遅くて申し訳ない……」
「いや、特に決めてなかったし気にしないでください」
笑いながらルース君は俺に言ってくれる。顔の爽やかオーラにさらさらヘアー
なんかイイ人オーラと爽やかオーラに包まれている。

「いやあありがたい、ったくジャンのやつ何やってるんだ」
とまあ4人揃ってからかれこれ数十分経っているのであるが(時計は門の横のゲートハウスという衛兵がいる
場所に置かれているのですぐ確認できる)


「ット噂をしていれば来たみたいだな」
遠くから小走りでこちらに向かってきているジャンが確認できる。
「いやーちょっと遅くなってごめん、準備があってね」

「特別すごく遅くなったわけじゃないからいいけど、何してたんだ?」
「えーっとね実はこれを買っていたんだ」
ジャンはじゃーんといいながら(ダジャレではない!)腰から一振りの短剣を取り出す。

「きれい……」
「まあきれいな短剣ですわね」
「おぉ~これはこれは……」

みな違う反応をする。その短剣は青みがかっていて、大きさは大体手の先から肘くらいあり
俺も普通に見とれてしまった。
「うん、この反応なら買ってよかったなぁ……実は綺麗なだけじゃないんだ、そうだなぁラピピさん持って
もらってもいいかな?」
「わたくしには少し大きいみたいですけど、はい」

ジャンがラピピさんにその短剣を手渡すが、タルタルサイズではないその短剣はラピピさんにとって
片手剣ほどのサイズになってしまう。何を意図しているかは分からないが、サイズは合っていないことは確か
だな。

「まあ……とても軽い」
そのタルタルのラピピさんにとっては大きな短剣であるが、ラピピさんは軽々とブンブン振り回している。
「そうなんだ、この短剣はとある蜂の針をつかって作られた品でね。なかなか貴重なものなんだ。
刃に鉄やブロンズを使ったりはしてないから、びっくりするほど軽いんだ」
数カ月前の俺だったら、蜂がそんな大きな針持ってるわけねーだろ!ってツッコんでたところだったけど
今ならまあいるんじゃないかなと思える。

「モンスターがその生きる年月を重ねることでそういう武器の素材になったり、様々な加工ができるものを
体に宿すことはよくあることですが、いい買い物しましたね」
ルースくんは冷静に品評をしている。どうやら悪い品ではないことは確かなようだ。

だが俺には別の要素の心配事というか気になることがある。それは
「その短剣が凄そうなのは分かったけどさ?お前金あったっけ??」
俺は当たり前の質問をする。だって昨日俺に飯をたかってきたしな、お金なんてないと思うだろ普通。

「えーとね、実は競売に出した品物が早速いくつか売れていたんだ。クゥダフの甲羅なんて何に使うかわからな
いものも売れてたし、ありがたいよ。それでいくつかまとまったお金が手に入ったからね、早速買っちゃった」
「そうだったのか、結構高かったんじゃないのか?」
意外とトレジャーハンターっぽいことやってるのねと妙に感心した。
「うん、僕の持ってるお金殆ど使っちゃったよ」

「そうか……それで俺達は今から依頼を受けたクエストを遂行しようとしてるわけだけど……お前身軽過
ぎないか?」
見る限り、ジャンの装備はいつものレザー装備にちょっとした小物入れといった程度で、とても1日かけて
クエストを進行するようには見えない。ちょっとコンビニ行ってくるわ!とでも言いそうな装備である。

「そうかな?」
「そうだよ!食料とか買ってないのか?」
「……あ、忘れてた」
やはりこうなるか……前から思うにこいつはちょっと抜けているところがあると思う。つかこの世界初心者の
俺のがしっかりしているという状況はおかしい……

「まあいい、そんな短剣買えるくらいだし、一日分の食料くらいは買えるくらいは残ってるだろ?」
「あはは……実はこれくらいしか残ってないや」
そういうとジャンはゴソゴソと小さな袋に手を突っ込み、一握りのギルを取り出した。

「えーと、これは24ギル…だな」
「うん……どうしよ」
どうしよ、じゃないよ!とツッコミたい俺だったが正直これ以上時間を伸ばすとクエストの進行に支障が出る
からな。

「……まったく、朝の時点でお前に手持ちがないことはわかってたし、一応お前の分くらいは用意してあるから
安心しろ」
「ショーウ!ありがと~!!」
「ぐおっやめろっ!抱きつくな~!」
同じくらいの年の男に抱きつかれても嬉しくもなんともない。

てか俺もダメ人間だと思ってるけど、こいつといるとまっとうな人間のように思えてならない。
どうしてこうなった……


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