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第1話


「おーっし、ショウ、これ終わったら飲み行くぞついてこい!」
「あいっす!お伴します!」

今俺は確実に日本じゃない場所にいる。なぜかって?
この飲みに誘ってくれてる人がどう見ても人間じゃないからさ!日本にこんな人はいないよ。
灰色の肌、でかい図体、人間じゃありえないサイズ(ステロイド飲めばこれくらいいくかも)
それになんといっても尻尾が生えている。でも何故か日本語通じるんだよね。

そういう俺は今鉱山で鉱山夫として働いている。このテンションも動きながらだから仕方ないね。
学生やってた時、つるはし担いでトンカントンカンするとは思わなかったわ。
そうして俺は黙々と作業を続ける。あ、石ころだ、いらね。
半年近くこの作業をやってると結構慣れるものである。

ちなみに今俺がいるこの鉱山は、ツェールン鉱山と言ってバストゥークという国の中にあるらしい。
正式名称はバストゥーク共和国、選挙で選ばれる大統領が治める国である。
国の中にあるからアクセスはしやすく、今開発が進んでいるとのこと。

そういう事情プラスあまり人気のない職種というのも重なってか俺はなんとかこの仕事に
滑り込めたというわけである。日本でいう3Kに入るものね。
お、スズ石か…微妙だな。

俺達は採掘を終えて、今日の戦利品を確認し始めた。
「おやっさん、今日は鉄鉱石結構出ましたねー!」
「おう、そうだな、石つぶてとかスズ石は高くは売れねえからな。需要の多い鉄鉱石が出たのは儲け
もんだ。ま、黒鉄鉱が出れば最高だったんだがな」
「まあそんなうまくはいきませんよ、んじゃ飲み行きましょー、もちろんおやっさんのおごりで」
「ガッハッハ、まあいいだろ、ショウも頑張ってるしな」

この飲みに誘ってくれた、そして俺がおやっさんと呼んでいる人はガルカのグルヴォさん。
でかい図体に、ひげがわっさわっさ生えていて、髪の毛とつながっている。
顔はごついが、よくみると男前な顔立ちをしてるからわからないもんだ。

ガルカというのは先に言ったでかい図体、尻尾が生えてる種族のことをいう。
ちなみに俺みたいな見た目のやつをヒュームと呼ぶらしい。
そして俺を助けてくれたのもグルヴォさんである。

見知らぬ場所に飛ばされて、どうしようもなくふらふらふらついていて、空腹でもうダメだ
となったところグルヴォさんに見つかり保護されたのである。
その時のグルヴォさん曰く

「どうしてあんな所に行き倒れてたんだ…?あそこは鉱山の入り口に近いが、誰もいないことが多い
いわば死角にあたるところ…運が悪いのか」
まあそんなこんなで拾われて、鉱山夫として働くことになったわけである。
拾われて鉱山夫って、どうしようもなく人身売買臭がするけど、まあ結構満足してる。
グルヴォさんには感謝感謝である。

そうして今日のお勤めを終え、鉱石を乗せた台車を押しながら鉱山の入口まで戻る。
鉱山はバストゥーク国内の鉱山区というところにある。鉱山区はこのツェールン鉱山の開発で
結構賑わってるといえる。もっとも昔はガルカの労働者がつどう寂れた地区だったらしい。

「んじゃ、ショウ、とっととこいつを引渡しにいくとするか」
「ういっす」
俺とおやっさんは基本的に、大工房の鍛冶ギルドと契約を結んで、そこに鉱石を卸している。
大工房というのは政府の機能に、大きな工場を合わせたみたいなもので(自分でも意味不明)
もともとは砦だったらしい。そんなことはどうでもよいとして、俺達はそこの鍛冶ギルドに
この掘った鉱石を卸しているというわけである。

鉱山の外にでたはいいが誰も居ないな…いつもはこの時間あたりにギルドの人来てるんだけどなぁ。
そんなこんなで鉱山の入口近くで待っていると、一人の男がやってきた。
「お、グルヴォ今日もご苦労さん、早速そいつ預かるよ」
「お、カール来たか、これが今日の分だ」

このカールさんが、鍛冶ギルドの人である。いつも大体決まった時間にやってきて鉱石を鍛冶ギルド
まで持っていく。ヒュームの男性で年は俺よりだいぶ上、坊主に近い金の短髪で、彫りの深い顔立ち
鍛冶で鍛えられているのか、なかなか筋肉質な体である。

「ふむふむ、鉄鉱石に、スズ石、あとは銅鉱…このくらいの量となると大体…2000ギルといった
ところかな」
「おぉー、おやっさん今日は結構いい感じですね!」
だいたい0~3000位なので今日は結構いいほうである。0な日もあるしね…

ギルというのは、こっちの世界のお金の単位で、大体1ヶ月に10000ギルもあれば最低限の暮らしはできる。
ほんとに最低限だから、すごい苦しいけどね。だからこの2000ギルというのは結構なお金なのである。

まあ冒険者ならこのくらいはらくらく稼いじゃうそうだけど。
冒険者というのは、冒険に何らかの形で関わってる人を言うそうだが、まあ根無し草ともいう。
日本で言うなら個人事業者プラスフリーターみたいな感じ。

ちなみに鉱山で鉱夫として働いている俺だが、身分としてはバストゥークに所属する冒険者。
何故そんなややこしいことになってるかというと、冒険者という身分はとても美味しいのである。

冒険者は国から大きな援助を受けており、無料のレンタルハウス(俺もそこに住んでいる)
身分の保証、ほかにもいろんなところを行ったり来たりする人に得なものもあるらしい。
だから俺も冒険者になってるわけである。まあ20年前にあった戦争みたいに国の危機になったら
軍に編成されるとかいうことはあるけど…まあそれを除けば冒険者になることは得しかない。

「そうだ、グルヴォ、銅鉱はないのか?結構掘れると思うんだが」
「あぁ、それはショウのやつに任せてるんだ、加工したんだろ?見せてやれ」
「あぁ、ちょっと待って下さいね」

グルヴォさんに振られて、俺は背中のバックをゴソゴソと漁る。
そして4つのカッパーインゴットを取り出す。インゴットというのは金属の塊だ。金の延べ棒とか
もそう、これでいうなら銅の延べ棒ってやつかな。

「おお、これは…なかなか不純物も少ないしよく加工されてるじゃないか、1つあたり500ギルで買い取る
がどうだ?」

おぉ願ったり叶ったり、銅鉱の買取価格はインゴット1つ分で100ギルほど、これを加工するだけで
これだけ値段が上がるのか…日本でもそうだけど、こういうところで値段は上がっていくんだなあ。

「じゃあその値段でお願いします」
いつも世話になってるし、値段も悪くないしごねることなんかないしな。
「しかし、ショウ、いつのまにクリスタル合成なんか覚えたんだ?」
「うーん、安定してこれ加工できるようになったのは1週間くらいまえですかね」

俺はこのカッパーインゴットを作るのに鋳造、溶かして型にはめて…という方法を使ってない。
この世界にありふれているクリスタル合成という方法を使ったのである。

クリスタル合成とは何か?
端的にいうと、クリスタルを媒介にイメージを具現化させることで、物質の形状・性質を変化させる
生産手段とのこと。簡単に言うと、材料…例えば今回の銅鉱をインゴットを加工出来る量集めたあと
完成品を思い浮かべ、そしてそのイメージをクリスタルに映す…正直コレは感覚でやってるから
うまく説明できん。で、そうすると鋳造その他の工程抜きに銅の塊ができるというわけ。

日本だったら、紙とインクで紙幣イメージして、お金作成余裕でした!
できるといえば凄さが分かりそう。想像力がだいじな作業である。

クリスタルというのは様々なエネルギーを秘めた結晶体(らしい)で
生き物を倒す?と出てくる。鉱山のコウモリを倒したときも出てきたしな。
まあポンポン出てくるもんだからあまり価値はないんだけどね。

種類は炎、土、水、風、雷、氷、光、闇と8つあって、様々な特性を持っている。
炎のクリスタルは、燃焼のエネルギーを持っており、俺はこれをインゴットの加工に使ったというわけ。

「それじゃあ鉄鉱石、スズ石、カッパーインゴットを合わせて3600ギルで引き取るが、いいか?」
「ああ、頼む」
「直接渡そう、ではほれ」

カールさんはおやっさんにチャリチャリと貨幣を渡していく。ギルは硬貨で
1,10,100,1000,10000と単位分けされている。だから今日もらったのは1000ギル硬貨3つに100ギル
硬貨6つというわけだ。カンタンダネ。
ちなみにギルは偽造防止のため、魔法の透かし彫りが入っているとのことで、合成で通貨偽造余裕でした…
はできないらしい。

「よし、たしかに渡した。では俺は失礼させてもらう」
そうするとカールさんは、おもむろに羊皮紙をとりだし、買い取った鉱石が乗ってる台車を持ちながら
「それじゃ、俺は戻らせてもらう、すまんがこの台車は後で取りに来てくれ」
「あいよ」

まあ日課だしね。それを聞いたあと、カールさんが羊皮紙を掲げると、カールさんと台車は空中に
現れた黒い渦に巻き込まれ消えてしまった。

「まったく、呪符デジョンってのは便利なもんだな。カールの野郎経費で落ちるからってガンガン
使いやがる」
「ですねー、俺らじゃホイホイ使うわけには行きませんもんね」

正直初めて見たときはすごい驚いた。呪符デジョンというのは、デジョンという魔法を封じた羊皮紙で
ある。デジョンは自分が決めた拠点(ホームポイントというらしい)に戻れる魔法で、カールさんは
鍛冶ギルドに設定しているらしい。これがあったら通勤ラッシュなんて無いんだろうなーと思う。
まあご覧のとおりこの世界は魔法が普通にあるらしい、それがわかればOKである。

「よっし、んじゃこれがショウの取り分だ」
お待ちかねの分配タイム…現ナマを受け取るこの感覚。給料銀行振込の現代じゃなかなか味わえないな。
チャリチャリとお金をいただく。
「あれ、おやっさん、ちょっと多いっすよ」

おやっさんとの仕事をやる上での取り決めで取り分は半々としたはずだけど、今俺が受け取ったのは
2000ギル、おやっさんより400ギル多い。
「ショウが加工してくれたおかげで、これだけもらえたんだ。当然の権利だ」
そんなこといったらおやっさんから受けた恩を考えると俺を奴隷労働させる権利もあるレベル。

「うーん、そうはいってもなぁ…んじゃ、この多くもらった分使って飲み行きましょうや!」
「ガッハッハ、ショウがそういうんじゃしゃあねえ、んじゃコウモリのねぐらに行くとするか!」
「ういっす!」

コウモリのねぐらというのはねぐらという文字通り宿屋なのだが、料理や酒も出している。
冒険者も多く集まり、夜は賑やかな場所になる。ちょうど日が暮れてきた頃だしちょうどいいかな。
俺とおやっさんは仕事が終わったあとは大体そこにいく。

レンタルハウスで自炊してもいいんだが、肉体労働の後だときついしな…
そうして俺とおやっさんはコウモリのねぐらに向けて歩き出した。
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