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第6話

「とりあえず、ジャンさんちょっといいですか?」
3人組のローブを着てフードを深くかぶっているタルタルがジャンに尋ねる。フードのおかげか性別が分から
ないな、声を聞いてもどちらとも聞こえるし。

「なんだい?」
「とりあえず自己紹介でもしませんか?わたくしたちはお互いのことよく知らないわけですし、その他のことは
そのあとで説明するのがよろしいかと……遠慮がないということくらいしかしらないですし」
なんかぼそっとつぶやかれた。まあそのとおりではあるんだけどさ
食える時に食うというのが信条であるので反省はしない。なかなか毒舌であるな。

「それもそうだね、それじゃあ僕から、言うのは2回目だけど、僕はジャン。サンドリア王国に所属する
冒険者でランクは1、ジョブはシーフをやっている。冒険者としては各地のお宝を探し歩くトレジャーハンター
といったところかな?」
ジャンのやつは肩書きだけ聞くとカッコいいんだけどなぁ、トレジャーハンターとか

まあお宝というよりガラクタ見ることのが多いけどね。そんなことより
「なあジャン、ランクって何?」
「そこにつっこまれるとは思わなかったよ……まあいいや、ランクっていうのはね、冒険者の所属している
国が冒険者に貢献度とかいろいろなものを考慮して与えられる地位のことなんだ。ランクは1から10まで
あって10に近いほどその地位が高くなるんだ」

「へぇー、ランクが上がるとなにか得があるのか?」
「そうだなぁ……お金がもらえるとか直接的な得はないと思うよ。ただランクが上がるってことはその国に
おける重要な人物になれるってことだから、上昇志向の強い冒険者はランクをすごい気にしてることが多い
かな」
手柄を立てて仕官するぜ!みたいな感じか
「なるほどな」

とすると今のところランク上げることを目指す必要はないらしい。偉くなりたいとかあまり思わないしね。
「とすると1のジャンは駄目駄目だってことじゃないか」
「ぐっ、そんな事言ったらショウだってそうじゃないか。僕には国での地位なんて関係ないのさ」
まあそういうの重視してたら家継いでるわな。

「えーとジャンさんにひとつ聞いてみたいんだけど、いいかな?」
ボーイッシュな女の子がジャンに尋ねる。
「何かな?」

「ジャンさんはトレジャーハンターらしいですけど、どんなお宝があるのかなぁって」
「うっ……い、今は競売所に出したばかりだから手元にはは何もないんだ。ハハ、残念……」
すごいうろたえてるな。ガラクタだろうし仕方ないといえば仕方ないが

「そうなんですかー……残念」
結構がっかりしてるな、まあ見てもがっかりするだろうけど……
「じゃあ気を取り直して、次はわたしが、わたしはルティ、バストゥークに所属してる冒険者でランクは3で
ジョブは白魔道士。ああ、それとそこにいるルースの妹やってます。冒険者としては色々なことやってるかな

へえ似てると思ったけど兄妹だったのか。

「それではついでに、僕はルース。同じバストゥーク所属の冒険者でランクは同じく3、そしてルティの兄です
それと、ジョブは戦士をやってます。冒険者としては、ルティと同じですね、様々なことをやってます」
ちなみに白魔道士というジョブは回復魔法を使って怪我を直したりするエキスパートとされている。
武器としては片手棍や両手棍を使い刃物のたぐいはタブーとされている……らしい。

戦士というジョブは近接戦闘のエキスパートで様々な武器を使いこなすとされている。
仲間の盾となり矛にもなりうる頼れるジョブである……らしい。
らしいというのは伝聞だからである。今まで外のモンスターを倒すのは一人だったしなぁ……

「では次はわたくしですね。わたくしはラピピ、ウィンダス連邦所属の冒険者でランクは他の2人と同じく
3です。ジョブは黒魔道士に就いております。2人との関係は昔からの知り合いといったところでしょうか
今は3人でパーティーを組んでおりますわ」
フードを外し自己紹介するラピピさん。どうやら彼女は女性のようだ。
フード外してやっとわかるとかちょっと失礼かもだけどね。彼女は前髪を切りそろえて他の部分は伸ばしている。
黒魔道士は攻撃的な精霊魔法を主体とする黒魔法のエキスパートである。

このパーティーはルースくんが前衛で戦い、ルティちゃんが回復をし、ラピピさんが少し離れたところから
攻撃するというパーティーらしい。素人目線でもバランスが取れてるのではなかろうか

それにしても昔からのなじみ同士のパーティーか。
昔なじみかぁ……そういうの考えると日本のことを思い出してしまうな。
今まで考えないようにしてたけど、やっぱ真剣に考えないといけないな。戻れるにしろ戻れないにしろ。
何もかも捨ててこっちへ来るには20年も日本で過ごしてたからなぁ……せめて元気でやってるから
心配するなと伝えられたらいいのだけど……

「ショウ、難しい顔してどうかした?」
おっと顔に出てたかな。
「んっ、ああいや何でもない。ランク3というと俺達よりだいぶ高いみたいだな、俺達より若いみたいなのに
頑張ってるんだな」

「同世代の冒険者より少し高いってくらいですよ。ランクが低くてもすごい人なんていくらでもいますし」
ルースくんはそんなでもおごることなくしっかりとしている。すごいね、うん。
「じゃあ最後に俺だな、俺はミズイショウ、まあここではミズイと呼ばれることはあまりないのでショウとでも
呼んでおくれ。バストゥークに所属する冒険者でランクは1。ジョブは吟遊詩人で、冒険者としてはなんだろ
主に鉱山労働してる」

冒険者としてモンスターを倒したりミッション、クエストをしたりなんかは殆ど無いから名ばかり冒険者
だなぁと再認識する。

「吟遊詩人なのは納得……」
ルティちゃんがぼそっとつぶやく、歌ってたしなぁ
「吟遊詩人というのは納得ですけど、聞いたことないような歌歌ってましたね。ここではあまり聞かないような
感じでしたし」

確か昨日はアニソン10連発とか歌ったんだっけ、アカペラだけど
吟遊詩人の歌というものはメロディーで盛り上がると言うよりは物語を音楽に乗せて歌うといった感じ
で音読プラスメロディーといったほうが近いかも

「うん、あれは俺の故郷の歌なんだ」
なんか深い意味のことを言ってしまったような気がする。実際ただのありふれすぎてるアニソンだったんだが
「そうなんですか、ショウさんの出身はどこなんですの?」

「日本ってところなんだけど、知らないよなー、東のほうの国と近い文化を持つところらしいよ」
つかここの世界じゃないしな。この世界の地理に詳しい人とかが聞いたら日本なんて無いって分かって
変な疑いかけられるところだ。
「ちょっと聞いたことないかも」

「東ですか、わたくしもいったことありませんわ」
「すみません、聞いた事ないですね」
当然の結果である。

「気にすることはないよ、ほんと小さい場所だから誰も知らなくても仕方ない」
「しかし、ショウ様失礼なこと聞くかもしれませんが、鉱山で働いてるというのは何か訳ありなんですの?」
「訳あり?」

ある意味訳ありではあるがどうなんだろ?何かあるのかね
答えあぐねているとジャンが俺に小声で説明をしてくれた。
「ショウはしらないのかもしれないけど、鉱山で働く人というのは何かしら犯罪歴があったり借金を
背負ってたりすることが多いんだ。今はそういう人ばかりではないかもしれないけどね」

ああ、そういうことか。まあ一緒にやる上で犯罪歴があったりするのを気にするのは当然か
「あ、いや俺は特に訳ありとかってわけじゃないよ、ただ鉱山で働いてるってだけさ」
「そうでしたか、申し訳ありません。少し失礼でしたね」
「気になるのは当然だし、気にしないでいいと思うよ」

今まで気にしてなかった問題だし、こういうこともルシウスさんから受けたミッションについて
手助けとなることでもあるしね。偏見、まぁ多少事実に基づいたものであってもこういうのは不満の種
になるものであるし、頭に入れておこう。

「それでは、クエストについて説明しますね」
ひと通り自己紹介が終わり、クエストについて話を受けることになった。今はルース君が説明をしようと
しているところ。

「はい、ジャンさんはもう受けるといってもらいましたけど、ショウさんはまだわからないのでクエスト受ける
かどうかについては内容を聞いてからでももちろん構いません」
それはありがたい、もとより俺もそのつもりだったしね。

「兄さん、依頼者の人が人数集まったら一度来てくれっていってなかった?」
「そうだったっけ、それではえーとジャンさんにショウさん、依頼者の人のところに行くので付いてきて
もらってもいいですか?」
「もちろん」
拒否する理由なんて無いしな。

「助かります、依頼者はここ大工房の2階の広間にいるはずです」

大工房の入口付近から移動してここは大工房2階である。大工房内はそれなりに広いがあくまで建物内のため
あまり移動せずに依頼者のもとにたどり着いた。
「イザベラさん、人数集まったのでクエスト受けさせてもらいます」

依頼人の彼女はイザベラというらしい。
バッサリと短めに切った髪とキリッとした顔立ちは気が強そうな印象を受ける。
「あら、もう見つけたの、さすがね。じゃあ改めてクエストについて説明させてもらうわ。クエストの内容は
私がやろうとしているツアーのモニターよ。あなたたち北グスタベルグの臥竜の滝はご存知?」

一度コンシュタットの入り口までは行った時、その途中で大きな滝を見かけたがそれのことだろう。
俺は頷いた。皆も一様にうなずいて肯定する。

「皆知ってるみたいね。私はあの滝は良い観光名所になると思ってるわ、そこで私はそこを目的としたツアー
旅行を考えてるの。だけど道中はあまり強くないとはいえモンスターや獣人だって居ることもあるから
冒険者の人に頼もうっていうわけ」

なるほど、危険があったりするから荒事に対処できる冒険者に頼んだわけか。
「えーと、モニターといっても何をすればいいんですか?」

とりあえず一番確認して置かなければならないことを聞いてみる。
「そうね、その臥竜の滝まで行って、道中は大変だったかとか、危険だったかとか、ツアーをやる上で
こうすればいいとか、ここはダメだとか様々な意見を聞きたいの、その意見を戻ってきて私に伝えてくれれば
いいわ」

「えーと、俺達が本当に行ったかどうかはどう確認するんですか?行かないで適当な感想言って
報酬だけもらうとかできちゃいそうですけど……」
一回だけとはいえ俺だってその臥竜の滝には行ったことがある。
その記憶を頼りにそれっぽい感想をいうことは簡単である。

「それなら心配には及ばないわ。臥竜の滝には相棒のハンティングベアを行かせてるの。滝の近くまで行けば
居ると思うから彼に会ってちょうだい」
確認役もいるのか、それならちょろまかすこともできなさそうだ。やらないけどね。
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